9.11から変わったこと


4年前の9月11日を覚えているだろうか。実は「郵政解散」の投票日だったんです。僕は当時の様子をかなり明確に覚えているのでちょりっと書いてみましょうか。
あの時、解散をした直後は「9.11自爆解散」なんて言われてて自民党が大敗すると思われていました。しかし、そこから小泉劇場の始まり始まり。「抵抗勢力」に「女性刺客」、果てはホリエモンなんかも出てきて大いにワイドショーとクメヒロシの番組を盛り上げたもんです。
そして9.11に蓋を開けてみれば自民は296議席の大勝。公明と合わせれば3分の2を超える議席を獲得。「改革を止めるな」というメッセージ性あふれるキャッチフレーズを見て、これで日本政府は市場に任せるものは市場に任せていくんだな、政府主導の経済からの脱皮か、と強く感じたのは僕だけではないはずです。
ところが、4年たってみてわかった。絶望するぐらい何も変わっちゃいない。改革なんて1ミリも進んでない。郵便局だって株式会社化されたけど、変わったことと言えば看板が「JP」になったことくらい。なんだよJPって。モルガンかよ。下着屋かよ。
結局、大きく変わったのは「世論」のみ。世論だけは大きく変わって、4年前はやれ改革だ、民営化(市場化)だとか言ってたくせに、今日では格差だとか、金融危機に際してもっと早く資金を供給するべきだったとか言ってる。それでこの夏に選挙をしたら、今度はなんの政策的メッセージのない民主党が308議席とって大勝した。
日本って改革路線進むんじゃなかったの?4年間でなんも進んでないよ。なのにもう逆に進むの?これって後の人から見たら「政治的迷走」にしか見えないよ。
最近確信しつつあるのは、民主主義では長期視点に立った政治なんてできないということ。94年出版の渡辺美智雄『新保守革命』を読んだら、提言してる政策が全然陳腐化してないんだわ。少子化、農政、行政改革とかすげー問題点が的確なの。15年も前の本なのに。何でかなと思って考えたら、その後の15年間で何も政治が進んでなかったからだと気づいた。
結局、政治は具体的に何も進んでないのに、世論ばっかりコロコロかわっちまってなにも変わらんのかなと。シュンペーターは民主主義が成功するためには「有権者は選んだ代表についてあまりツベコベ口を出さないこと」と言ってる。確かにそうだ、選んだ以上は当分信頼してやらせてみるのが筋というものだ。
僕はシュンペーターの信奉者だから当分民主党を信頼してやらせてみることにした。さっそく世間では八ッ場ダムで口出ししてるのはなんなんだろう。ずっと前から民主党は言ってるから、もはや当たり前の話なんだけどな。しっかり中止して公約を実現させるという強いメッセージを見せてほしい。