外貨準備高が増える仕組み -外貨準備高とは 介入〜不胎化まで

今日は外貨準備高が増える仕組みを書きたい。中国で伸びてる外貨準備高が歪みを生んでると思うんだわ、次回そっちに触れたい。今日は日本を例に解説するので、通貨は円、政府は日本国政府中央銀行は日銀だ。
まずは外貨準備高の定義というか特徴

  • 外貨準備高は主に介入(売り介入)によって増える。
  • 介入は為替マーケットに政府の中の財務省が円を売りまくる(=ドルを買いまくる)こと。
  • 外貨準備は財務省保有(日銀じゃない)している資産。と同時に借金。

というものだ。以下、外貨準備高の仕組みを流れで解説していきたい。読み終わったころには「外貨準備高の運用」というのが難しい問題だとわかるはず。

財務省による為替マーケットへの介入

日々、為替マーケットで円とドル(他通貨も)が交換されている。その交換レートが1ドル=ナントカ円って日々のニュースになるわけだ。ところが何らかの理由で急激に円高が起こることがある。円高というのはマーケットで円が買われて、ドルが売られると起こる。そしてこの流れが止まらなくなった時の一つの打ち手が政府による介入だ。
政府が市場の流れの逆の取引、つまりドルを買って、円を売ることで円高の歯止めをかけるのが介入だ。まず政府は円をマーケットで売る。そうすることで円高の流れを断ち切る。政府は円を売ってる訳だから当然ドルが入ってくることになる。そしてその分の円が市場にばら撒かれることになる。

資金は日銀から調達してるんですよ

さて、上の話で疑問になるのは、政府の介入するカネがどこからきてるんだろう?という話だ。答えは介入に際して財務省は「政府短期証券」という証券を刷って、日銀に引き取らせる。つまり緊急時だから国債発行して日銀に買わせてるってイメージだ。日銀はその短期証券を買う、財務省には刷りたての円が届く。財務省はこの円をマーケットで売る(ドルを買う)訳だ。
つまりまとめると財務省が証券発行、日銀が買う、財務省に円が届く、財務省がマーケットでドルを買う(円を売る)、円安になるという流れ。

不胎化も忘れちゃだめだよ

さあ、もう円高も落ち着いたし一件落着、ではない。今までの流れは日銀が新たに円を発行して、それがそのままマーケットに流されることを意味している。為替介入って1か月で数十兆円規模で行うこともあるので、世間に出まわるお金の量が多くなりインフレになってしまう恐れがあるのだ。だからこの溢れたお金をどうにかしなきゃいけない。そこで日銀の登場だ。
日銀はここで売りオペをする。ようは日銀の保有している国債をマーケットで売り*1国債を買う人は円を日銀に払う、日銀に円が入るって寸法だ。これをやるとアラ不思議、無事円が日銀に回収されて世間に出まわるお金の量は介入前と同じになる。無事インフレ懸念は解決された。この作業を不胎化と呼ぶ。蛇足だけどデフレで困った時はあえてこの作業をやらないで世間に出まわるお金を増やす方法を非不胎化という。すごいよね、二重否定かよみたいな。

外貨準備の運用方法

以上が外貨準備高の増える仕組み。で、ちょっと前に話題になってたけど「余った外貨準備高を運用しよう」って話があった。これは、今までは介入で財務省に入ってきたドルは主にアメリカ国債を買っていた(別に放置してたわけじゃなくてちゃんと「米国債で運用」していたということ)。これを米国債じゃなくてもっとリスクをとって(効率的な)投資をしようって話だ。ちなみに今の日本の外貨準備高って1兆ドルあって、そのうち6-7割(←未確認)をアメリカ国債で運用している。もちろん、そんなのアメリカ様が許さないとか、日本がアメリカ国債を売った瞬間米国債の信用がガタ落ちするとか、そもそも財務省は証券で借金してるんだから損する可能性のある投資はダメだとか、色々な問題がある。
さて、この議論は新しく1本エントリーが書けるからまた今度*2。今日は外貨準備の解説でした。
次回は中国の話を予定しています。不胎化がうまくいってないとか、2006年の1兆ドルからもう2兆ドルになってる(米国債買いまくり)こととか、すごいっすよ、この国。

*1:為替マーケットで売るわけではないので矢印を微妙なトコにしておいた。

*2:すみません、実は自分の中でまだはっきり決めてません。