海自の観艦式に行く
海上自衛隊の観艦式に行ってきた。正確にいえば25日の本番ではなく、事前の2回の予行も一般公開しており、それに行ってきた。
観艦式
観艦式のプログラムを追うと
とすさまじく移動時間の長い(往復で6時間超)ものであった。しかも護衛艦内に娯楽施設はあるわけもなく(むしろあったらあったで問題だ)、乗客は甲板に詰め込まれ、自衛隊の備品と思われる配布された毛布で寒さをしのぐ、はたから見たら難民船のような様相をしていた。さらにいうと平日の午前午後という日程のため乗客は8割が老人である点もその風景に拍車をかけていた。
8時間拘束中、45分間で行われた式自体は色んな船や飛行機が見れたし、ドンパチもしてくれたのでよかったと思う。ひゅうがってこれ軽空母だろ!てな発見も当然あった。潜水艦を見て「クジラそっくりだ。クジラの形を真似したのか、海に潜る形にするとクジラに似るのか?」なんてつぶやいてた人もいた。
(Wikipediaより、「ひゅうが」型護衛艦)
整理整頓された美しさ
それでも今回、自衛隊すごいなーっと思ったのはむしろソフト面にある。
まずは艦内。圧倒的な待ち時間だったから色々回ったんだけど、本当に綺麗。綺麗というのは「よく整理整頓されている」という意味なんだけども、ホントにチリひとつ落ちてないんだわ。甲板もめっちゃきれいで黒ずんでるところとか一点もないし、ドアとかの蝶つがいみたいな金属部分は常に磨いているのだろうか光り輝いている。もし万が一必要な時に作動しなかったり、不具合があったら死ぬんだもんね。さすがと思ったよ。そんな綺麗さに触発されたのか乗客はみんなゴミを持ち帰っていたよ。「ゴミはお持ち帰りください」なんて放送もしてなかったのに。破れ窓効果の逆バージョンってあるんだな。
チリひとつないといえば、自衛官の制服。ガチでこれはおろし立てのような綺麗さで、ズボンのアイロンがけは「ズボンを研ぐんだよ」と教えられるそうなのだが、まじで切れるくらいの折り目をしてる。無論制服効果ってのもあるんだけど凛々しく見え、身だしなみって重要なんだと思わされた。
あとは通路や甲板などの通り道の手の届く範囲の突起に全てテープを張っていたり(多分乗客がひっかけたりして怪我しないように)、危機管理の意識というか、クレーマー対策というか、そういうのもしっかりしていたのも好感が持てた。
自衛隊は軍隊みたいだった
で、最終的な結論としては自衛隊は軍隊みたいだった、という笑い話のようなものだ。しかしこれを笑い話で終わらせない理由が日本にはある。憲法9条だ。日本の憲法では9条の2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と規定している。こりゃあ憲法学者怒るよ。だってどう見ても戦力だもん。
憲法というのはご存じ「国家が守らなければならない法律」「国家を縛るためのもの」であって、絶対に破ってはいけないものだ。つまり論理で考えれば自衛隊廃止派に利がある。よく言われるような「憲法を改正して、自衛隊を軍にしろ」というのすら論理で言えば誤りで、憲法が「戦力を保持しない」と規定している限り国家は戦力を保持しちゃいけないのが筋なんだな。だから論理で言えば頭でっかちの自衛隊廃止論者(イマドキいるのか?)は正しい。ま、だけど現実に必要だから憲法無視して作っちゃった吉田茂も「政治家として」正しいというわけだが。
てな感じに観艦式にいって憲法のことを考えてたわけです。ちなみに明日の観艦式本番には鳩山総理は行かなくて、副総理の菅さんが行くそうですよ。給油問題が関係してくるんでしょうかね。たしかに出席したら「給油問題で揺れる海上自衛隊の観艦式に・・・」って報道はされるわな。あるいは村山元首相が陸自の観閲式に行って評判を落としたことに学んだんですかねぇ。いずれにせよ自衛隊の「最高の指揮監督権」をもつ総理大臣が3年に一度の「閲兵式*1」に出席しないのはどうかと思うよ。最高指揮官でしょ、アンタ。
見え方としてはこんな感じ。例えて言うなら格闘技を2階席で見る位の感覚。素人じゃ艦の区別はつかんわな。
*1:ほぼ事実上の閲兵式だから恐れず閲兵式と言ってみる。