UBSvsアメリカ政府の殴り合い ひとまず決着

ニューヨーク(CNNMoney) IRS(米内国歳入庁)は19日、スイス政府との間で、同国の金融大手UBSに米国人が保有する口座に関係する情報提供で合意したと発表した。対象は4450口座で、IRSは脱税に悪用されていた秘密口座の解明が進むと期待している。
CNN.jp UBSが米国人保有の4450口座の情報提供、IRSに

UBSは少しだけ思い入れがあり応援したいグローバル企業だ。昨年アメリカ政府から脱税幇助をしたとインネンをつけられ*1、情報開示をしなければ提訴され、かたや情報開示をすればスイスの法律に違反する板挟みになり、ようやく今回の案で妥協に至った。サブプライムでダメージを受けたところに因縁をつけるあたり米政府のシコさがうかがえるが、巨大化した金融機関を打ち取るのはこの機会しかないと思ったんだろうな。国家の力は相対化して行く傾向にあるとの指摘もあるが、この地上においてはまだまだ国家が最強のプレーヤーだ。
UBSはこの騒動以来顧客離れが激しく、プライベートバンキングでの預かり資産をバンカメにも抜かれるなど踏んだり蹴ったりである。そりゃ、秘密裏に税金対策したい金持ちが情報開示しちまった銀行にあずけるわけないよな。SBCとの合併・誕生後の投資銀行・グローバル戦略路線のツケというか、スイスでもともとの本業のPB業務をやってりゃこんなことにならなかったようにも思える。

*1:これまでの経緯はこの記事に詳しい