ロンブー淳の政治家的ポテンシャル

ロンブー淳が政治家を目指すというデイリースポーツの飛ばし記事が出た。意外に思うかもしれないが、彼は2年前に読売新聞で政治についての連載を持っており、それを読んでみたら結構示唆深いこと言っている。なので彼を擁護する記事を書くには機を逸した感があるが、今後、淳が出馬した時に掘り起こすためにも彼の発言と政治家的な資質についてまとめておこう。
ちなみに上記飛ばし記事はてブのコメントは批判だらけで、出馬が決まったわけでもないのに、その批判のされようは森善朗とか山拓を彷彿とさせる大物感を漂わせている。

リア充的発想

さて、本題。彼は読売新聞(夕刊)で2007年9月から2008年1月まで月1回のペースで「千思万考」と題した政治の記事を連載していた*1。コンセプトは「政治のことがよくわからない田村淳が政治のことを語る」というもの。内容は紙のように軽くて薄いんだけど、結構いい切り口、というかいい視点もってるなーと思った。
例えば、若者の投票率を向上させるためには?というお題があったとしよう。ネットで情報を収集する人間であれば、若者の投票率を挙げる手段としてすぐ思いつくのはネット投票だ。しかし、淳は「スタバとか、マックとか、TSUTAYAとか、人の集まるところに投票箱を設置する*2」とリア充的発想で打ち手を提示している。確かにネットよりもこっちのがリテラシーもいらないし、普通の人にとってみればパソコンを立ち上げて、検索サイトにいって、キーワードを打ち込んで、特設サイトにいくよりも、街に繰り出したついでに立ち寄れる淳の案の方が投票者のコストは低そうだ*3。思うに、彼は当たり前のことをバッと指摘する力に優れている。
ちなみに上の打ち手はアイディアベースではなくて、記事を読むと「投票所に行ったら老人ばかりだった」という自身の体験→若者が投票に行っていない→政治に若者の意見を反映できない→若者の投票率を上げる必要がある→若者の集まるところに投票所を作ればいい→スタバとかマックじゃね?というロジックがちゃんと読みとれる。なんだ、この人結構考えられるんじゃん。

政治とカネの問題

淳は政治とカネの問題に対してもクソ正論を言う。

なんであんなにお金の不祥事が起こってしまうんでしょうか。そもそも政治家の活動をするのにお金がたくさん必要なのでしょうか。そんなにたくさん必要なら、たくさん使えるように法律を変えてしまえばいいのです。毎度、毎度、不正のニュースを見て落胆するくらいなら、お金をきちんと政治家の先生たちに必要なだけ払って、存分に国のために働いてもらった方がよいと思ってしまいます。
「千思万向 「悪っぽい」政治家もいい」『読売新聞』夕刊2007年10月19日16面

政治とカネの論争では「政治にカネをかけてはいけない」といった論調が目につく。しかし淳のこの発言は素人ゆえのゼロベース思考というか、脳味噌が柔らかい感じがする逆の発想だ。確かに本当に政治にカネがかかるなら必要なだけ払ってやればいい。議員が立法するアメリカでは上院議員の政策スタッフの平均は44人で下院議員でも十数人だ。一方の日本では公費で雇える秘書は政策秘書、第一秘書、第二秘書の3人だ。こんなんで立法できるの?官僚打破とか言ってるけどその打破した後に誰が政策を法律として具体化するんだろうか。
また選挙にカネをかけるのは悪い!と反射的に思ってしまいがちだが、冷静に考えるとやはり本当にそうだろうか?なんの地盤もない有能な人が選挙に立候補したとき、市民に知ってもらうためには、効果的に知名度を上げるためには、おカネが必要なのではないだろうか?選挙にお金をかけるな!というのは既に地盤のある人に有利になるんじゃないかな。と淳の記事を読んでそう思ったりした。こんな感じに淳はなかなか鋭い。

結論:ポテンシャルは十分。

最後に、淳が出馬した暁には自分擁護なるだろうと思われるような発言もしている。

昔のことを保持繰り出して政治家を追いこむやり方は僕は大嫌いです。政治家になる前の過去は、どんなに頑張っても変えられません。これから国のために頑張るという気持ちをくんで投票者は選ぶと思います。
「千思万向 「悪っぽい」政治家もいい」『読売新聞』夕刊2007年10月19日16面

うむ。かつて淫行で世間を騒がせた宮崎県知事は頑張ってるようだし、過去の私生活が政治のパフォーマンスを左右する訳でなさそうだ。淳も「改心」して、ちゃんと国民のためを思ってることが通じればいいね。とりま結論としては、淳は地頭はいいタイプ。既成概念に囚われない柔軟な思考で問題を見つける能力はありそうだ、ということだ。記事冒頭の飛ばし記事にも「下関市議でまずは勉強したい」とあるように意外にも堅実なタイプなのかもしれない。政治家としてのポテンシャルは十分あるように思う。あとは当選する力だけだ。

*1:読売側から話を持ちかけたようだが、扱いは寄稿記事となっている

*2:田村淳「千思万向 政治に参加しませんか」『読売新聞』夕刊2007年9月21日18面

*3:実施するための選挙のコストの話じゃないよ!