今の日本の政党に必要なことはビジョン

15年前にさる政治家が書いた本を読んで吹いた。「少子化対策が必要だ」、「政治主導のための行政改革もしなければならない」、「日本の農業が滅んでしまうから抜本的に農政にも取り組まなければならない」。まるで今書かれたような政策提言で、本当にこの15年間政治は何のビジョンもなくて、結果何も進まなかったんだなと痛感した。
かつての政党にはビジョンがあった。1955年に吉田自由党と鳩山民主党が合流して以来、一党優位の体制の下ずーっと政治運営されていた。55年体制ってやつだね。この下での長期的ビジョンというのは親アメリカ(=資本主義)と経済成長であった。そして自民党は見事にそれをやり遂げた。共産主義国家は滅んだし、世界第二位の経済大国にもなった。
ところが冷戦が終結し、日本の経済成長も終わった。同時に2つのビジョンが陳腐化した訳だ。それ以降、自民党はビジョンを失ったままだ。多分この20年間で明確な長期的なビジョンのあった政権って小泉政権だけじゃないかな。

今の政党に長期的ビジョンはあるか

自民党支配のもとで民主党のビジョンは「アンチ自民」でよかった。現に夏の選挙の大勝は有権者が自民にNOってのが一番大きかっただろう。でも、民主党が政権を握った瞬間にそのビジョンは達成された。じゃあ次はどうする? ってときに即座に「友愛」を持ち出したのはなかなかうまいと思う。
多くの人は友愛(笑)と言うけど、僕は鳩山友愛政権を歓迎している。なぜならそこに長期的なビジョン、つまりこの国が目指す方向というのがうっすらながら見てとれるから。「友愛」なんて優しい言葉でありながら、その本質は持続可能性であるように思う。つまり、ほっとけば(財政的、人口減的に)日本は滅ぶので何とかしなきゃいけないという強い問題意識が感じられるのだ。

  • 友愛外交 → 60年間アメリカ一辺倒だった外交を見直して、アジア(中国)寄りに舵を切りますよ。(脱アメリカという長期ビジョン)
  • 事業仕分け → 無駄遣いを洗いなおしますよ。(財政をなんとかしなきゃという長期ビジョン)
  • 子供手当 → 子供を持った家庭を優遇しますよ。(人口減に対する長期ビジョン)
  • 外国人参政権 → 人口減やばいから外国人優遇してきてもらわないと。(日本人だけじゃやっていけないという長期ビジョン)

なんて感じに、民主党の政策って長期的なビジョンが内包されているように思える(短期的にはえーっと思うけど)。
さてさて、問題は自民党だ。自民党の立て直しにはビジョン必須。アンチ民主ってだけじゃ多分足りないし、大体それじゃお国のためにならない。谷垣総裁のもとで20年後、30年後の日本をどうすればいいのか、徹底的に議論して方針を立ててもらいたい。
 
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